今日は5月17日、「お茶漬けの日」。言わずと知れた永谷園が制定した記念日で、煎茶の普及に尽力した永谷宗七郎の命日に由来しています。
子どもの頃、風邪を引いた夜や、なんとなく疲れた日の晩ごはんに、母がそっと出してくれたお茶漬け。湯気の立つその優しい香りが、なんとも言えない安心感を与えてくれたことを、今でもはっきりと思い出します。
お茶漬けは、贅沢でもなく、豪華でもない。でも、心と体に「今はそれでいいよ」とそっと言ってくれるような温かさがあります。たとえば、がんばりすぎた日。何も作る気力もなく、何かに傷ついた心を引きずったままの夜。そんな時、お茶漬けは言葉を持たずに、私たちに「おかえり」と言ってくれます。
今日という日は、それだけではなく、もうひとつ大切な記念日でもあります。
それが、「生命・きずなの日」。人と人とのつながり、命の大切さ、心を通わせるということ。そのすべてを、あらためて見つめなおす日です。
そして、もう一つ。「国際反ホモフォビア・トランスフォビア・バイフォビアの日(IDAHOT)」でもあります。1990年5月17日、WHOが同性愛を“精神疾患”の分類から正式に削除したことに由来し、いまも世界中で、すべての性のあり方が尊重される社会を目指す日として認識されています。
こうした記念日が重なる5月17日というのは、「誰かを否定せず、ありのままを受け入れること」――そんな普遍的で、でもとても難しいテーマを、あらためて静かに見つめるにはふさわしい日なのだと思います。
ご存知のように私の仕事もまた、ラブドールの処分を専門に承っており、そうした“受け入れる”という姿勢を大切にする仕事です。
依頼される方の多くは、誰にも打ち明けられず、静かに悩み、迷い、そしてようやく「手放す」という決断にたどり着かれます。そこには、きっと人に知られたくない想いも、恥ずかしさも、寂しさも、あるでしょう。
けれど私は、それらを「普通のこと」として、まっすぐに受け止めています。
ドールは、ただの物ではありません。孤独な時間を支えてくれた存在、大切な記憶の断片、寄り添ってくれた“もう一人の誰か”かもしれません。
それを手放すということは、過去の自分との別れであり、同時に、新しい一歩でもあるのです。
だから私は、依頼をくださったお客様が、少しでも不安なく整理ができるように、静かに、丁寧に対応することを心がけています。
そして現在も、ラブドールのサイズに合わせて特注段ボール箱の制作を承っており、納期はおよそ1週間程度。お一人おひとりの事情に合わせて、柔軟にお手伝いさせていただいております。
今日のように、「誰かに受け入れてもらえること」「ありのままでいること」がテーマになる記念日に、私はふと思うのです。
――お茶漬けのような存在でありたい。
声高に主張はせず、でも確かにそばにいて、ひとの心を少しだけあたためるような。
派手さはないけれど、「あってよかった」と思ってもらえる存在に、私自身がなれたならと。
今日の夕食は、久しぶりに鮭のお茶漬けを作ってみました。
ほかほかと立ちのぼる湯気に顔を近づけると、なんとも言えない懐かしさと、ほっとする香りが胸を満たしてくれました。
そして、あらためて思いました。人もまた、香りや記憶でできているのかもしれません。
否定されないこと。
寄り添ってもらえること。
ありのままでいいと言ってもらえること。
それだけで、人生のいくつもの痛みは、すっと和らいでいくのだと思います。
今日という日が、誰かにとってそんな“癒し”や“きずな”の一日になっていたらと、心から願っています。
私もまた、そうした気持ちを大切に、明日からの仕事に向き合ってまいります。
本日も、誠実に営業しております。
どうぞ安心して、ご相談くださいませ。