今日は1月16日、「禁酒の日」です。1920年にアメリカで禁酒法が施行された日にちなんで、こう呼ばれることがあるそうです。年が明けて半月、正月気分もさすがに落ち着いてきた頃に「禁酒」という言葉が出てくるのは、なかなか絶妙だなと思います。年末年始はどうしても飲む機会が増えますし、気が緩んでいつもより量が増えてしまう人も多いはずです。まさに私もその一人で、今日は少し耳が痛いテーマになりました。
正月は楽しいものですが、食べすぎ飲みすぎと引き換えになりがちです。私の場合、年末の疲れがほどけた反動もあって、「今日はいいか」と言い訳しながら杯を重ねてしまうタイプです。年末に片づけをして、冷蔵庫の中身も整えて、「さあ新年」と気持ちが切り替わったはずなのに、いざ三が日が始まると、つい飲むペースが早くなってしまいました。
思い返せば、あれは元旦の夜でした。家でゆっくりできる安心感と、正月らしい食卓の力に押されて、いつもより日本酒が進みました。普段なら「このへんでやめておこう」と思うタイミングで、もう一杯いける気がしてしまう。おせちの甘辛い味つけは酒に合いますし、刺身があるとまた合いますし、何より“明日も休み”という余裕が、一番危ない。翌朝、目覚めた瞬間に分かりました。「あ、やりすぎたな」と。
頭が重いというほどではないのですが、体の芯が乾いている感じがして、口の中も妙に苦い。胃が起きてこないので、せっかくの雑煮にも箸が進まない。あれは小さな失敗ですが、年の始まりに自分で自分の機嫌を悪くするのは、やっぱりもったいなかったなと思いました。結局、正月の一番いいところは「ゆっくりできること」なのに、飲みすぎると、その“ゆっくり”を自分で壊してしまう。少し反省しました。
禁酒法の歴史を軽く思い出すと、ここにもまた人間らしい矛盾があります。酒を禁止すれば世の中が良くなる、規律が守られる、健康的になる――そう考えて始まったはずなのに、現実には密造酒が増え、闇の商売が拡大し、むしろ犯罪が増える側面があった。禁止は人を清くするどころか、時に欲望を強く刺激してしまう。人間は「ダメ」と言われると余計に欲しくなる面があるし、自由を奪われると別ルートを探してしまう。禁酒法は、単にお酒の話というより、「ルールと欲望の関係」を象徴する出来事だったように思います。
この話を自分の生活に置き換えると、「完全な禁止」は案外うまくいかないということを思い知らされます。お酒を一滴も飲まない、と決めたところで、付き合いの席もあるし、気持ちが落ちた夜に一杯欲しくなる日もある。むしろ“禁止”を掲げると、それが破れたときに自己嫌悪が大きくなり、「どうせダメだから」と余計に崩れてしまうことがあります。だから私は、禁酒の日という言葉を「禁止」ではなく「節度の確認」として受け取りたいと思いました。
正月に飲みすぎた自分に必要なのは、罰ではなく、調整です。今日は一日ノンアルにして、胃と肝臓を休ませる。水を意識して飲む。温かい汁物を取る。夜は湯船につかって早めに寝る。大げさなことではないけれど、こうした小さな立て直しが、生活には効きます。年末年始の乱れは、なかったことにはできないけれど、丁寧に整え直せば、体はきちんと応えてくれる。そう思うと、少し気が楽になります。
大阪の街を歩いていても、お酒との距離感は人それぞれです。立ち飲み屋で軽く一杯の人もいれば、宴会で大騒ぎする人もいる。飲まない人も増えていますし、ノンアルの選択肢も豊富になりました。昔の「飲めないと付き合いが悪い」という空気はかなり薄れてきたように感じます。それはとても良い変化だと思います。お酒は楽しいものですが、無理をして飲むものではありませんし、飲む・飲まないの自由が守られるほうが、結局は場の雰囲気も良くなる。自由というのは、選べることです。
禁酒の日をきっかけに、私は「飲まない日の気持ちよさ」をもう一度取り戻したいと思いました。飲まない夜は、眠りが深くなります。翌朝の起き上がりが軽い。肌の調子も少し違う。余計な出費も減る。なにより、翌日が丸ごと自分のものになる感じがします。お酒は確かに気分転換になりますが、それ以上に、飲まないことで得られるメリットも大きい。その両方をちゃんと知った上で、選べる大人でいたいと思います。
今年の正月は少し飲みすぎましたが、それも含めて「自分の傾向」がよく分かりました。休みが続くと気が緩む。食卓が整うと杯が進む。夜更かしすると判断が鈍る。分かったなら、次から少し工夫ができます。例えば、二杯目に入る前に水を一杯飲む。つまみを塩気の強いものばかりにしない。飲む日と飲まない日を先に決めておく。こういう小さな段取りが、“禁酒法”のような強制ではなく、気持ちよく続けられる節度につながるのだと思います。
禁酒の日。今日は、飲むことを否定する日ではなく、自由と節度の距離を測り直す日として過ごしました。正月の飲みすぎの反省も込みで、今年はお酒と上手につき合う一年にしたい。気持ちよく飲み、気持ちよく休み、気持ちよく目覚める。そういう当たり前を、当たり前に守れる自分でいたいと思います。

